資産はあるのに、現金がない。2度目のバブル崩壊で初めて青ざめた話
前回の「暗号資産に強い税理士が見つからない。紹介の紹介の紹介で、やっとたどり着いた話」の続きです。
税理士さんに丸投げできて、僕はやっと肩の力を抜きました。もう税金は怖くない。そう思っていた矢先に、2度目のバブル崩壊がやってきます。
このとき初めて、僕は「手元に現金がない」と本気で青ざめました。
1度目の崩壊は、痛いのに平気だった
バブル崩壊を味わうのは、これが初めてではありません。
最初のバブルは、200倍まで伸びました。その山が崩れたとき、資産は一気にしぼみます。数字だけ見れば、大打撃でした。
なのに、当時の僕はどこか平気だったんです。
理由は単純でした。売っていなかったから。手放していないお金は、増えても減っても画面の中の数字。痛いけれど、その日の暮らしは1ミリも変わりません。
売らずに持ち続けたのが、結果オーライだった。そのくらいに思っていました。
2度目は、モードが全然違った
問題は、次のバブルでした。
2度目の波は、前回の200倍を超えて 800倍 まで伸びます。今度はさすがに、僕も一部を換金しました。その現金を、使いました。
テレビ、洗濯機、大きなスクーター。前に書いた散財です。
手元にはモノが増えて、現金は静かに消えていきました。
そこへ、2度目の崩壊が来ます。
同じ崩壊でも、1度目と2度目は別物だった
同じ「バブル崩壊」なのに、感じた痛みがまるで違いました。並べてみます。
| 1度目の崩壊 | 2度目の崩壊 | |
|---|---|---|
| 換金 | していない | 一部している |
| そのお金 | 使っていない | 散財で消えた |
| 手元の現金 | もとから変わらず | ほぼ空っぽ |
| 危機感 | ほとんどなし | 本気で青ざめた |
違いは、たったひとつ。お金を「使ってしまったか」どうかでした。1度目の僕には、まだ失うものがなかっただけなんです。
暴落は待ってくれる。税金は、待ってくれない
崩れた相場は、また戻るかもしれません。売らずに待てば、値がもう一度上がる可能性はあります。
税金は、そうはいきません。
暗号資産の利益は、稼いだ年の翌年にまとめて請求されます。税率は最大55%。去年の利益にかかる税金は、今年いくら暴落しようが、満額そのままやってきます。
去年と今年で、こんなことが起きていました。
| 去年(稼いだ年) | 今年(払う年) | |
|---|---|---|
| 相場 | 800倍のピーク | 暴落のまっただ中 |
| 資産 | ふくらんでいた | しぼんだ |
| 税金 | まだ請求されない | 去年ぶんが満額 |
資産が減った年に、資産が増えた年の税金を払う。このズレが、現金のない僕の首を絞めました。
「資産はある」のに、1円も動かせない
前回は、残っていた現金をかき集めて、なんとか納税を乗り切りました。でも相場が崩れた今回は、その「かき集める現金」すらありません。
通帳を開いて、電卓を置きました。
暗号資産は、まだ持っています。数字の上では、資産はある。売れば、暴落後の安値で損を確定させるだけ。現金は、散財でほとんど残っていない。
資産はあるのに、払うお金がない。
初めての感覚でした。あんなに稼いだはずなのに、いざというとき動かせるお金が、手元にないんです。
「お金って、持っているだけじゃ意味がないのか」
このとき僕は、資産と現金は別物だと、体で理解しました。画面の中の数字は、いざというとき僕を助けてくれません。
僕がこうしておけばよかったこと
- 税金分を先に取り分けるのは、前回すでに学びました。今回わかったのは、その先です
- 暴落しても数ヶ月は暮らせる現金を、投資の外に置く。いわゆる生活防衛資金(当面の生活費ぶんの貯金)でした
- 「資産がいくらあるか」より「すぐ動かせる現金がいくらあるか」で考える。含み益は、ピンチのときには使えません
3つ目が、手元に現金ゼロで青ざめた僕への、いちばんの答えです。
資産の意味を、初めて知った
あの現金ショックは、正直かなりこたえました。稼いだはずのお金が、必要なときに手元にない。この矛盾を味わって、僕はようやく「使えるお金」を意識するようになります。
今は、何かで利益が出たら、まず税金分と生活防衛資金をよけます。残ったぶんが、本当に自由なお金。あのときは、この順番が逆でした。
資産は、増やすだけでは足りない。すぐ動かせる形で、少し手元に置いておく。たったそれだけのことを、僕は現金ゼロになって、やっと覚えました。
次回は、この現金不足から始まった「暗号資産と税金の自転車操業」の話を書きます。数年ぬけ出せなかった、悪循環の記録です。