人生初のお金の勉強。調べ方すらわからず、金(ゴールド)一択で買った話
前回の「税金を払うために暗号資産を売ると、また税金が来る。数年抜け出せなかった自転車操業の話」の続きです。
やっと決めました。人生で初めて、お金の勉強をする。
意気込んだ翌日、僕は検索窓の前で固まりました。
「お金の勉強」と打ち込んで、そこで止まった
決意だけは立派でした。肝心の、何を勉強すればいいのかがわからない。
暗号資産のことなら、どこで情報を拾えばいいか体で知っていました。伸びそうなコインの探し方、板の見方、界隈で誰の話を聞けばいいか。そっちの回路だけは、何年もかけて出来上がっていたんです。
守る側の話になった瞬間、その回路がまったく使えませんでした。
「お金の勉強って、何から始めるんだ」
検索して出てくるのは、聞いたことのない言葉ばかりでした。ポートフォリオ、分散、インフレヘッジ(物価が上がってもお金の価値を減らさないようにすること)。読めば読むほど、自分が今どこに立っているのかわからなくなる。
勉強のスタート地点が、どこにあるのかわからない。それが最初の壁でした。
調べ方がわからないまま、「金」一択で動き出した
そんな状態でたどり着いた答えは、ひとつだけでした。
金(ゴールド)。これ一択です。
理由らしい理由は、ありません。昔から価値があると聞く。世界中どこでも通用するらしい。暗号資産と違って、現物として手元に残る。そのくらいのぼんやりしたイメージで、僕は買いました。
他の選択肢と比べてもいない。並べてすらいない。勉強を始めたはずが、やったことは勘で一点に張ることでした。
コインを選んでいた頃と、頭の使い方が1ミリも変わっていません。
ほんとうにギャンブルな行動です。反省します。
時はコロナ禍の後半だった
ここから先は、正直に書きます。運の話です。
僕が金を買ったのは、コロナ禍の後半でした。世界がまだ落ち着かない時期で、金の値段はこのあと大きく動き出す前。
上がり出す直前に、たまたま入っていたわけです。
狙ったわけではありません。相場を読んだわけでも、世界経済を理解していたわけでもない。「金しか思いつかなかった人」が、たまたまその場所に立っていただけでした。
そのあと、金が急騰した
しばらくして、金は大きく値を上げていきます。
画面を見て最初に浮かんだのは、「やった」ではありませんでした。
「これ、ぜんぶ運じゃないか」
喜びより先に、背中がひやっとしました。何も調べずに一点張りして、当たった。裏返せば、外れていても理屈は同じです。まったく同じやり方で、僕は昔パチンコで300万円を超える借金を作っています。
勝ったのに、中身は勘だけ。これは喜んでいい結果ではありませんでした。
金だけを持っていても、日々のお金は動かない
ラッキーの余韻がおさまると、今度は別の物足りなさが出てきます。
金は、持っているだけなんです。値上がりを待つ以外に、やることがない。毎月なにかが入ってくるわけでもない。
暗号資産をやっていた頃、僕は毎日チャートを開いていました。あの熱量に比べると、金はあまりに静かでした。
静かなのは、悪いことではありません。ただ、僕が探していた「お金が働いている感じ」は、そこにありませんでした。
勉強を始める前と、金を買ったあと
自分がどれくらい変わったのか、並べてみました。
| 勉強を始める前 | 金を買ったあと | |
|---|---|---|
| 見ていたもの | 稼ぐ話だけ | 守る話も気になり出した |
| 資産の置き場所 | 暗号資産ひとつ | 暗号資産+金 |
| 買うときの判断 | 勘 | 勘(変わっていない) |
| 学べたこと | ほぼゼロ | 「調べ方」から調べる必要に気づいた |
一歩は進みました。それでも判断の質は、まだ何ひとつ変わっていない。3行目が「勘」のままなのが、当時の僕の限界でした。
金と株、性格がまるで違った
金を持ってみたおかげで、逆に足りないものがはっきりしました。僕が次に株式へ向かった理由は、この違いに全部あります。
| 金(ゴールド) | 株式 | |
|---|---|---|
| 持っている間 | 何も生まない | 配当が出ることがある |
| 増える理由 | 値上がりだけ | 値上がり+企業の成長 |
| 日々の動き | 静か | 毎日ある |
| 僕が感じたこと | 置いておく安心 | お金が働いている感じ |
金が悪い、という話ではまったくありません。「置いておく安心」は、暗号資産だけだった頃の僕が持っていなかったものです。ただ、それだけでは物足りない。それが当時の正直な気持ちでした。
僕がこうしておけばよかったこと
- 商品より先に「調べ方」を調べる:何を買うかより、どこで学ぶかが先でした。本でも講座でも、入口だけ人に聞けばよかったんです
- 最低でも3つ並べてから選ぶ:金・株・投資信託。並べて比べていれば、金を選んだ理由を自分の言葉で言えたはずです
- 勝った理由を、必ず言葉にする:当たったときこそ、実力なのか運なのかを分けておく。ここを曖昧にすると、次も同じやり方で張ってしまいます
3つ目は、パチンコの頃から何度もつまずいてきた場所です。
結果オーライを、実力と勘違いしないために
金は上がりました。資産も増えました。
それでも、この回を「うまくいった話」として書く気にはなれません。中身は、勉強を決意した人間の行動ではなかったからです。
ただ、この不格好な一歩がなければ、次はありませんでした。実際に金を持ってみて初めて「日々のお金が動かない」と感じられたし、その物足りなさが僕を株式へ向かわせます。
はじめの一歩は、たいてい不格好でいい。大事なのは、そのあとで調べ方を覚えることでした。
次回は、株に興味を持ったものの「株は怖い」と周りに言われ、YouTubeを先生にした話を書きます。